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“物語”を演出するデザイン

 入り口に立つと建物を通して、素晴らしい山並みが前方のガラス越に広がる。それはシドッティが上陸して、夜明けとともに最初に見た風景と重なる。建物に一歩、足を踏み入れると、長いホールが山の風景につながるように延び、上陸地から恋泊村につながる1本道をイメージしたものとなっている。そして、300年前に1本道の向こうから藤兵衞が姿を現わしシドッティと出会ったように、建物を貫くホールは人々の出逢いと交流の“物語”を演出している。

  1. エントランス・ホール

 長い石の床のスペースは十分に広く、ツアーグループや各種交流イベント、講演レクチャー、特別展など多目的に活用できる。内部には可動式のミュージアム・カウンターを設置して、シドッティ関連のグッズやエコロジカルな屋久島特産品を販売する。ホールはそのまま右側のカフェスペースにオープンにつながり、ユニバーサルデザインのトイレも目につきやすい位置に配置した。

入り口から中へ
中から入り口へ

2.カフェ・スペース

 併設カフェは、ローカルな素材を使ったイタリアンとジャパニーズのフードとドリンクを提供する。窓に面したカウンター席からは、季節ごとに色合いを変える田園風景と、その向こうに屋久島南部の美しい山々のパノラマが一望できる。関連資料などを閲覧できるライブラリーを兼ねた読書コーナーもあり、ゆったりとしたくつろぎの時間も楽しめる。

3.ギャラリー・スペース

 展示室内の大きな壁には、写真やイラスト、動画などを使ったパネル展示や映像展示を通してシドッテイ神父の生涯と歴史的背景を表現する。また、美術工芸品や歴史資料なども展示する。天井近くの窓からは変化に富んだ間接的な自然光が降り注ぐ。

4.上陸地展望エリア

 敷地の西側の一画からシドッティ上陸地に続く海岸が望める。

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建築仕様

 エコロジカルな温かみのある素材のみを使用する。屋久島の木と石、土、漆喰など自然素材を主軸とした木造建築とする。(約150㎡)

 建物内も家具、キャビネット類も木の素材感を生かしたものとする。

 太陽光電池によるオール電化を実現し、化石燃料は使用しない。

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